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プロフィール:もぎ けんいちろう
脳科学者。1962年東京生まれ。
東大法学部を卒業後、同大学院理学系研究科物理学専攻課程を修了。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチャー。ほかに東工大大学院連携教授(脳科学、認知科学)など。
著書に『脳と仮想』(小林秀雄賞受賞)をはじめ多数がある。
撮影・篠原宏明
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脳を活性化させるには
楽をしないこと、人に会うこと
脳を錆びつかせないためには、まず、楽をしないこと。脳に適度な負荷をかけてやるのがいちばん大事です。毎日決まりきった生活をしていると脳が学習しなくなっちゃう。よく運動で軽く汗をかくというでしょ、それと同じで脳も軽く汗をかくと回路が変わって更新される。それにはある程度の負荷がかかること、ちょっと苦手なものへのチャレンジが必要です。易しすぎてもいけないし、難しすぎてもやる気が出ない、ちょうどいい難易度のときに脳内のドーパミンが分泌されて快楽を感じながら学習が進むわけですね。 もうひとつは、人に会うことが脳を活性化させます。しかもなるべくバックグラウンドの違う人、自分と考え方や価値観の異なる人、そんな相手がいい。脳は簡単に予測できない事態に対して向き合うときにいちばん学ぶんですね。人間にとって最も予測不能なものが他人。なにを言い出すか、なにをやり出すかわからない、そういう存在と向き合ってコミュニケーションすることが脳にとってはものすごく効く。
人間の脳の最大の特徴は、いつまでも子どもらしさを失わないところなんですよ。ふつうものごとは完成したらおしまいですが、脳はいつまでも変わり続ける。だから、年を重ねていくつになっても、いい意味での幼心を大切にしてほしいと思います。おとなの男って、どうしてもプライドや見栄があるからなかなか子どもになりきれない。でも、だれでも幼いころ時間を忘れて夢中になって遊んだ憶えがあるはず。実は、あのときが脳として最も学習が進んでいた時期なんですね。夢中になって草野球をやっていて気づいたら夕暮れになっていた……。そんな思い出を思い出としてだけじゃなく、おとなの男にも現実のものとして取り戻してもらいたいな。なんであれ熱中できるものがあって、時間を忘れられるときが脳にとっても一番幸せなのですから。いま流行りの脳のトレーニングやドリルよりもそのほうがずっと意味がある。 |
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『それでも脳はたくらむ』
中公新書 各735円(税込)
現代を生きる「脳の中の私」と「私の中の脳」。
脳のたくらみと言い分に耳を傾けると……。
脳科学の実践入門書! |
ええっ、この号の特集は「尾崎豊」なんですか!ぼくにとって尾崎の魅力は、一度聴いたら絶対忘れられない楽曲の素晴らしさですね。メロディもいいし、それ以上に歌詞がシンプルでありながら心にずばっと入ってくるのがすごい。その生き方にしても、あれだけまっすぐで熱い人ってなかなかいないでしょ、夏目漱石や小林秀雄も熱い人だったけれど、ぼくは熱い人が好きなの。尾崎がもしいまも生きていて会うことができたら、きっと仲間だと思えたんじゃないかな。
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